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?Tはじめに
爆発的に増加する高齢者の医療・保健・福祉の充実を目的として、厚生省は「ゴールドプラン」を提唱し、その達成年度は2年後に追っている。ゴールドプランの推進と共に始まった「在宅医療」は、病院医療・診療所医療に次ぐ第三の医療として認知されるようになってきた。また、公的介護保険制度の導入なども検討されており、ますます在宅医療の充実が急務となっている。在宅の現場では、医療従事者のみで高齢者を支えることは難しく、実際には、福祉と連携をとり高齢者を「ケア」している。
「在宅ケア」は、医療者の在宅医療に対する認識、家族の介護能力、社会福祉制度などが複雑に絡み合うチームでの取り組みが期待されているが、残念なことに十分には機能していないのが現状である。そのひとつの原因としてあげられるのは、患者の病状、家族の介護能力や社会資源の支援体制などの様々な条件を軽視して、在宅ケアに移行することがあげられる。また、医療機関従事者自体が、まだ、在宅ケアを十分に理解していない場面も見受けられる。
家族の介護能力は重要であり、これまで介護者に焦点をあてた在宅介護スコアの研究1)は存在するが、患者の病態や患者をとりまく環境を総合的に評価し、在宅ケアが導入できるか否かの検討をした研究は存在しない。在宅ケアをスムースに導入するための判断基準となるスコアの開発が望まれているところである。

 

?U目的
円滑に在宅ケアを導入し、さらに継続するのに必要な条件を調査・検討し「在宅ケア適応スコア」を開発する。

 

?V研究方法
1)近郊都市型在宅ケア「おやま城北クリニック」における在宅ケア患者において継続群と中止群の実体調査を行い、在宅ケアを導入及び継続するに当たっての要因を比較検討する。
2)おやま城北クリニックで得られたデータを元に、必要な条件をスコア化し在宅ケア適応スコアを作成する。

 

 

 

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